記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
コロナ禍で業績が悪化する企業が多くなっている中で、本社ビル等の大型の自社所有資産売却のニュースを耳にするようになりました。ただ、その本社ビル等は今後とも使いたいから、当該物件を売却後リースバックにより継続使用することがあります。その場合の着目ポイントについて考えてみたいと思います。
着目ポイントは、売却においては売却益の計上と売却代金の使途であり、リースバックにおいては今後の損益とキャッシュフローへの影響になります。
まず、本社売却の主目的は売却益の計上にありますが、売却益は売却代金と帳簿価格の差額として計算され、本業不振により生じた赤字の補填のために特別利益に計上されます。
次に売却代金の使途ですが、実際に使える金額は売却益にかかる税金を控除しておかなければなりません。売却により利益は出ますが、本業が不振の会社は、本業の赤字だけでなく、希望退職による退職金等で、事業ベースで相当の赤字になりますから、売却益にかかる税金はかなり圧縮されるケースが多くなります。それらを総合的に計算して、使えるキャッシュを算出します。
売却代金の使途については、業績悪化企業ですから、赤字穴埋めや希望退職に伴う退職金に充当するのが普通です。
さらに、場合によっては株主還元も考えられます。経常段階までは赤字の会社の場合、この売却益により、最終損益は大幅黒字として、配当を行うのです。本業不振にもかかわらず、配当するのはやや違和感は残りますが、過去の蓄積を吐き出し、株主還元するというのも一つの考え方でしょう。(つづく)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)